2021年度からの大学入試には英検が使えるようになり、2024年度以降は英検などの英語民間試験が大学入学共通テストの一部になる予定です。
もちろん英検以外にも民間試験はありますが、英検は小学生、中学生などから受験していることもおおく、一番受けやすい試験ですよね。
今回は英検の中でもCEFRのB2レベル程度に相当する英検準1級について、内容や単語の量と対策・勉強方法を見ていきます!
英検準1級となるとかなりハイレベルに思えますが、これが出願資格になる国内の大学もあります!海外大学への進学や留学をめざすのではれば、準1級を狙ってみましょう!
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英検準1級はどんな試験?
- 難易度:大学中級程度
- 必要単語数:7000〜8000語
- 広く社会生活で求められる英語を十分理解し、また使用することができる。
英検準1級は大学中級程度とされています。大学にも色々あり曖昧な表現ですが、難関大学入試と同じくらいの難易度とも言われています。つまり、大学受験生にとっては高く設定した目標となるわけです。
ちなみに大学入試の成績提供システムに使われる英検CBTや英検2020 1day S-CBTでは準1級が最も高い級です!
CEFRレベルB2が入試に関わる大学
英検準1級はCEFRレベルではB2レベル程度となります。
準1級のCEFRレベル | 該当する英検CSEスコア | 準1級合格スコア |
B2 | 2300〜2599 | 2304 |
「5.大学・短大の大学入試英語成績提供システムの利用予定の状況」によれば「大学入試英語成績提供システム」を利用した入試で、出願資格を英検準1級合格程度のCEFRレベルB2としている大学はいまのところ見当たりません。(未定が多いためまだはっきりしていません)
しかし2019年度・2020年度の入試の段階で、出願やみなし満点の条件としている大学があります。
大学・学部・学科 | 利用方法 |
青山学院大学国際政治経済学部 国際政治学科 国際コミュニケーション学科 |
出願資格 |
恵泉女学園大学 | みなし満点 |
明治大学国際日本学部 | みなし満点 |
みなし満点は、大学の個別試験の英語の点数が満点になるというものです。
大学入試に成績提供システムが加わったところで、急に全てがなくなるとは考えられません。ということで、英検準1級が有効な資格だという状況は続くでしょう!
https://studyrunups.com/dnktest/
英検準1級の単語数や問題の特徴は?
英検準1級の単語数は7000語〜8000語と言われています。2級の4000語程度と比べると倍増に近いですね。ただ単語の勉強にゴールはありません。新しい単語を覚えていくことはずっと続くので、その数字が7000語〜8000語だっただけです。
問題の構成に関して、英検には1次試験と2次試験に分けて受験する従来型のものと、CBTと呼ばれるコンピュータを利用するタイプとがありますが、問題の構成は同じです。
ただし、大学入試センターの大学入試英語成績提供システムを利用する場合にはCBTテストを受ける必要があります。
日数 | 形式 | 対象 | 英語成績提供システム | |
(従来型の)英検 | 2日 (1次試験と 2次試験) |
1次:マークシート 2次:面接 |
制限なし | ✕ |
英検CBT | 1日 | コンピューター | 制限なし | ◯ |
英検2020 1day S-CBT | 1日 | コンピューター +マークシート・紙 |
受験生 | ◯ |
このような違いがあり、さらにCBTテストにも2種類あります。また日程も違ってきますので、申込みや受験計画を立てる場合には注意をしましょう。
https://studyrunups.com/eikencbt
英検準1級の問題の内容は公式サイトで以下のように公表されています。技能ごとの試験の内容と対策を見ていきます。
リーディング・ライティングの内容と対策
形式・課題 | 詳細 | 問題数 | 文の種類 |
短文の語句空所補充 | 文脈に合う適切な語句を補う | 25問 | 短文 会話文 |
長文の空所補充 | パッセージの空所に合う適切な語句を補う | 6問 (2文×3問) |
説明文 評論文など |
長文の内容一致選択 | パッセージの内容に関する質問に答える | 10問 (3文で3,3,4問) |
|
英作文 | 指定されたトピックについての英作文を書く | 1問 | 質問文のみ |
時間はリーディングとライティングを合わせて90分、リーディングの問題は全て4択です。
単語・語彙の勉強法
大問1は語彙の問題です。英検といえば英単語が大切な試験であると言われますが、英検準1級の英単語は2級までのものと比べてかなり難しくなっています。
しかし英語のリーディングの勉強はある程度まで行くと語彙力以外はほとんど差がつかないものなので、英単語の勉強が準1級の勉強だと思って地道に努力しましょう。
必ず覚えられる単語学習法
英検準1級を目指す方であれば英単語の学習は通ってきた道で、自分のスタイルがあるかと思います。ただ、順調に来ててもある日突然うまくいかなくなるかもしれないので、わたしのスタイルを紹介させてもらいます。
- STEP.1単語帳を選ぶオススメはDUO3.0
ポイントは音声での学習もできる単語帳を選ぶことです - STEP.2100語一気に学習ある程度の量(100〜200)の英単語を一気に学習する
何周もするつもりで学習する
意味がたくさんあってもいちばん重要なものだけを覚える
音声を聞きながら、声に出しながら覚える(書くのも◯) - STEP.3同じ範囲を繰り返す4周目くらいから急にできるようになります
- STEP.4次の範囲に行く
英単語帳の『DUO3.0』は最後に改定されたのが2000年と少し古い気もしますが、いまだに優秀な単語帳として人気が高いです。
本の構成は
- 覚えるべき英単語で例文が作られている
- 派生語などもかなり詳しい
- 重要単語1600語
- 重要熟語1000語
- 例文数560本
- 例文はアメリカの大学教授3名を含むネイティブ15名で完成させた
- Bobのストーリーが残念なことで有名
というものです。ただ「いきなりDUO3.0だと難しいのでは?」という意見もあります。ターゲットなどの他の単語帳を終えてから取り組むのもありでしょう。ちなみにわたしはいきなりDUO3.0でいきました。もちろん分からない単語も多かったのですが、分からなかった単語は調べて手帳にまとめるという方法で乗り切りました。
単語帳を2冊だと時間がかかりすぎてしまうと思います。また知らない単語が出てこないはずはないのでわたしは「いきなりDUO3.0」をオススメします。
次に音声に関して、今はアプリなどで補充されることが多いのですが、DUO3.0の音声はCDです。CDの内容も効率的で、1時間で560文を音読してくれます。(6秒で1文終わる計算なので慣れるまでは恐ろしく早く感じます!)
CDには「基礎用」というものもあるのですが、基礎用は日本文も読んで英文もゆっくり読むものなので、英検準1級を狙うならば復習用にトライしましょう!
長文読解の勉強法
長文読解といっても問題用紙1枚程度なので、「長い!」というほどでもありません。また、読解はある程度以上のレベルになるとあまり差はつかず、差がつく原因といえば英単語の知識の差なので、再び英単語の学習が重要になってきます。
とはいえ、リーディングの力もライティングなどの他の技能にも繋がるためしっかりと学習しておくことが大切です。
- STEP.1過去問を中心に練習をする
・すぐに意味が取れない文はアンダーラインを引いておく
・根拠を持って答えたかを意識する
・知らない単語にもアンダーラインを引いておく
- STEP.2答え合わせ
・文章中の難しかった文をしっかりと理解する→何度も読んで覚える
・答えの根拠が自分が思ったとおりか確認する
・知らなかった単語を単語帳などでチェック
- STEP.31〜2週間後に復習
・復習をし自分の進歩を測(単語・文章)
・理解のスピードが上がっているかを意識する
見てすぐに理解できなかった文は復習が必要です。方法は何度も読んで文の構造を自分のものにしてしまいましょう。この際日本語まで暗記してしまって構いません。意味が分かると文の構造との関連が分かって、似た日本語を見たときに「あの文と似てる」と分かり、作文ができるようになります。
また同じ文であっても復習をすることが大切です。たとえ暗記してしまったとしても、むしろ暗記した英文は自分が使える英文になっているのでリーディングだけでなく、リスニングやライティング、スピーキングに役立ちます。
英検準1級の長文の内容は社会問題など、真面目な堅い内容の話となることが多いです。そのため、事前の知識として社会問題や時事問題などには注意し、読解の助けにしましょう。(社会問題の勉強については下の方にまとめてあります)
リーディング・ライティング・リスニングの話題は社会生活一般、芸術、文化、歴史、教育、科学、自然・環境、医療、テクノロジー、ビジネス、政治などとさまざまです。いろいろな話題を知っていると理解がしやすくなるでしょう。
- 単語帳はDUO3.0がオススメ
- CD(音声)も使って100〜200語ずつ繰り返を重ねながら学習
- 長文対策には過去問を使う
- 瞬時に分からなかった文は何度も読んで暗記する
- 覚えていなかった単語はDUO3.0で調べマーカーをしておくか自作単語帳に記録
- 復習を絶対にする(できなければもう一度覚える。できていれば進歩!)
- 社会問題や時事問題にも注意する
ライティング問題の勉強方法
まず、英検準1級のライティング問題を見ておきます。
●Write an essay on the given TOPIC.
●Use TWO of POINTS below to support your answer.
●Structure: intrduction, main body, and conclusion
●Suggested length: 120-150 words
●Write your essay in the space provided on Side B of your answer sheet.
Any writing outside the space will not be graded.TOPIC
Do you think that Japanese consumers will buy more imported products in the future?POINTS
●Globalization
●Government
●Price
●Quality
- エッセイ(小論文)形式でトピックに対する意見を述べる
- 語数は120語〜150語
- 序論・本論・結論の形にする
- 本論ではPOINTSから2つを選び論証に使う
- 論理的な文章になっていることが大切
- スペルや文法のミスをしない
などです。また話題はリーディングと同様に幅広い社会問題が選ばれています。話題を広く求め様々な意見を知っておくことが大切です。
エッセイ(小論文)形式の文章の書き方・構成
小論文となると、自分の立場をはっきりさせ、論理的で独創的で明確な文章を作ることが必要などと言われますが、あくまで英検準1級のエッセイは英作文です。また語数も120語-150語と少ないのでシンプルに書きましょう。
●エッセイ(小論文)形式の文の書き方
- Introduction(序論):自分の立場をはっきりと述べる
- Main body(本論):POINTSを2つで、2つの理由を述べて自分の立場(意見)を強化する
- Conclusion(結論):Main bodyを踏まえて、もう一度自分の立場をはっきりと述べる
社会問題が話題なので、知っていれば内容は思いつきます。それ以上に重要なのは英語のエッセイとしての書き方です。
勉強方法としては過去問での対策が重要になってくるでしょう。具体的にはリーディングなどの学習を通じて知っている英文を増やし、真似をすることが有効です。
自分で考えて英語にしたいと思うかもしれませんが、英語というルールの中で作文をするので、結局は多かれ少なかれ真似になります。また正しい英文の真似をすることは文法上のミスを減らしてくれます。
なお英検の過去問は3回分がホームページ上にアップされています。
- 対策はやっぱり過去問
- 序論・本論・結論の形を身につける
- 知っている文を増やして真似をする
- スペル・文法のミスに注意する
リスニングの内容と対策
形式・課題 | 詳細 | 問題数 | 文の種類 |
会話内容一致選択 | 会話の内容に関する質問に答える(放送1回) | 12問 | 会話文 |
文の内容一致選択 | パッセージの内容に関する質問に答える(放送1回) | 12問 | 説明文など |
Real-Life形式の内容一致選択 | Real-Life形式の放送内容に関する質問に答える(放送1回) | 5問 | アナウンスなど |
英検準1級のリスニングはそれぞれの問題で放送される英文量がかなり多いです。また1回しか放送されないため集中力も必要です。
また、PartCは問題文を読む時間も10秒間与えられますが、問題と問題の間(解答時間)は10秒間です。選択肢も読まないといけないので考える時間は短くなります。リスニングの指示放送中にできるだけ中身を読んでしまいましょう。英検2020 1day S-CBTの場合も体験版によれば、指示放送中にページはどんどん先に進めます。
試験時間は30分、全ての問題は4択です。
リスニングの勉強方法
- STEP.1リスニングの実践英文を聞いてリスニングに挑戦する
- STEP.2聞き取れなかった音を確認テキストを見て確認する
- STEP.3瞬時に理解できなかった英文を確認知らなかった形の英文として覚えてしまう
- STEP.4復習
リスニングをするためには
- 英語の音を聞き取れる
- 聞き取った内容を理解できる
の2つの力が必要です。
音が聞き取れないのであれば、音を確認して覚えてしまえばいいですし、瞬時に理解できなかった文があったとしたら、英文ごと覚えてしまえばリスニングできるようになります。
結局暗記ですが、英語は言葉なので知っている形の文章ならば理解できて、逆に知らない言葉は理解できない(時間がかかる)ということです。
そして大切なのが復習です。復習をして自分がどれくらいできるようになったかを確認しましょう。
オススメのリスニング教材
オススメのリスニング教材はまずは過去問です。リスニング原稿もあるので細かい部分も確認しながら学習を進めることができます。
もし準1級の過去問では難しいという場合にはTOEICのリスニング問題が、量的にも内容的にも適切でしょう。
TOEICでリスニング力をつけてから英検準1級の過去問に取り組むという流れで、着実にリスニング力は伸びてていきます。
また、リスニングは机に向かう必要はないのでスマホアプリなどでの学習もオススメです。
- まずは英検準1級に向けた準備をしたいという方に合うアプリです。
- 苦手を分析し、それぞれに合わせたプログラムが提供されます。
- 「無理なく着実にレベルアップ!」ということで、英検準1級を受けると考えた場合には優しい部類に入るでしょう。
- レベルアップして次のステップに進んでください!
- TEDは様々な分野の著名人によるプレゼンテーション動画が配信されているアプリです。
- 英検準1級の学習としては、過去問に取り組むレベルになってからがいいでしょう。
- 英語の音声はもちろんですが、そこに日本語または英語の字幕をつけて見ることができます。
- プレゼンテーションは10分〜20分程度なので細かい時間にトレーニングができることもポイントですね。
- なにより、各分野の最先端な印象が自己啓発につながりモチベーションを上げてくれます!
- 対策は過去問かTOEIC、スマホアプリも有効
- 音が聞き取れたかに注意
- 瞬時に意味を理解できたかに注意
- こちらも復習が重要!
スピーキングの内容と対策
形式・課題 | 詳細 | 問題数 | 解答形式 |
自由会話 | 面接委員と簡単な日常会話を行う | - | 個人面接 面接官1人 (ナレーション、応答内容、語い、情報量、積極的にコミュニケーションを図ろうとする意欲や態度などの観点で評価) |
ナレーション | 4コマのイラストの展開を説明する(2分間) | 1問 | |
受験者自身の意見を当質問 | イラストに関連した質問に答える | 1問 | |
カードのトピックに関連した内容についての質問に答える | 2問 | ||
カードのトピックにやや関連した、社会性のある内容についての質問に答える | 1問 |
英検準1級のスピーキングの特徴は「4コマの絵のナレーション」です。
ナレーションをしたあとにされる質問は4つで
- 4コマ絵に関連する質問
- 絵に関連する社会問題などについての質問(3問)
という構成です。
後半の3問は関連する社会問題などについての意見を求められます。そのトピックについて全く知らないと答えられなくなってしまうため、ここでも社会問題などへの関心が大切になってきます。
在宅勤務、レストランでの喫煙、チャイルドシート、住民運動、キャッチセールス、護身術
スピーキングの勉強方法
●スピーキングの勉強方法
- STEP.1音読をして知っている英文を増やす瞬時に理解できる英文=話せる英文を増やす
- STEP.2様々なものを英語にして言う日常的に英文を口に出すトレーニングをする
- STEP.3できれば英会話をする
リーディングやライティング、リスニングと共通してきますが、とにかくさまざまな英文を知っておくことが大切です。
特にスピーキングでは瞬時(時間を掛けず)に作文をすることが必要になってきます。そのためには知っている表現、言い慣れた表現を作っておきましょう。
また、スピーキングは数学の答えのように決まってはいません。すると、自分はできているつもりでも実はおかしな英語を使っている(場合によっては通じなかったり、勘違いしていることもあります)場合が出てきてしまいます。
ということで、できればネイティブの(またはしっかりと話せる)方との英会話をして、対策をしましょう。
- 知っている英文の量を増やす
- 常に「これ言えるかな?」をチェック
- できればネイティブの方と英会話
英語の4技能全てが上達する勉強法
英語の上達は結局知っている英文の量によります。そして
- 知っている英文 = 理解できる英文
- 知っている英文 = 瞬時に聞き取れる英文
- 知っている英文 = 瞬時に話せる英文
となり、全て関係してきます。また、自分の英語の力を試して伸ばすために、「このことを英語で言えるか?」を常に意識してみましょう。分からなければ気になって調べたりするものなので上達に繋がります。
頼られたら応えたいじゃないですか。ということでわたしは「これ聞かれたとして、英語で答えられるかな?」というミッションを自分に課してスピーキングのトレーニングをしました
社会問題を知るためにはどうすればいい?
英検準1級ではさまざまな社会問題がトピックとされます。しかし社会問題には決まった枠のようなものがないため、いざ勉強しようと思うとなかなか難しいものです。もともと社会問題というものはテレビやインターネットのニュースなどを通じて自然と知っていくものだと思いますが、こちらから獲得していく方法として、大学受験の小論文対策の本を紹介します。
もちろん普段から意識して知識を増やすことが大切です。ただ本にはもしかしたら知らなかった、気づかなかったこともあるかもしれません。教養としても役に立つ本だと考えます。
過去問に取り組むと絶対に点数が上がります
英検に限りませんが、過去問のある試験に臨む際は必ず過去問にも取り組みましょう。
それぞれの試験にはパターンが有り、たとえはっきりとパターンを捉えられなくても、考え方などが身につき点数がどんどん上がっていきます。
過去問は過去3回分が公式サイトにアップされており、リスニングは原稿もあります。またフラッシュのためスマホでは見られないのですが、バーチャル2次試験として、2次試験の様子をアニメーションにしたものが見られます。ぜひ参考にしてください。