夏休みの中学生は「人権作文」が宿題になることが多いですよね。
昔は人権作文よりも読書感想文がメインだったので、わたしもはじめて聞いたときは「一体何書けばいいの?」という印象でした。
そもそも作文の書き方も学校では習わないことが多いそうですが、この記事では「人権作文の書き方」について紹介していきます。
ところで法務省主催の全国中学生人権作文コンテストで入賞すると、アニメやドラマに映像化されるそうですよ('O'*)
こんな感じ↓になります。
【朗読動画】「名前」(第40回全国中学生人権作文コンテスト文部科学大臣賞)
「人権作文」て何?一体何書けばいいの?
人権作文は「人権」と「作文」をただつなげた言葉ですが、いわゆる「人権作文」は「人権を大切にしよう」という内容を作文したものです。
これが宿題になる理由は「宿題を通じて、人権についてしっかりと考えてほしい。その上で人権を大切にする大人になってほしい。」という目的があるからなのでしょう。
押し付けられているという印象もあるかもしれませんが、「人権」の感覚を身につけることは、人として成長するために大切なことだと思います。
なので作文をぜひガンバってください。
「人権」とは?そこからよく分からない
ズバリ「人権」とは「人はみんな平等です」を表す言葉です。
学校の社会でも「人権」について習い、しっかりとした内容を勉強すると思いますが、今回は「人権作文」を書くためなので、このくらいの理解で十分です。
聞くことはあっても、使う場面はなかなかない「人権」ですが、ざっくり言うと「それっておかしくない?」という感覚が「人権」の感覚なのです。
具体的に言うと?
では具体的な「人権」や「人権に問題が発生している状況」を挙げます。
人権や人権に問題が発生している状況
いじめ
いじめが原因の自殺や仕返しの事件などもあります。いじめをすることも、見て見ぬ振りをすることも、原因は相手への思いやりやいたわりといった感覚が薄いためだと言われます。
虐待(力の強い者一方的に誰かを傷つけること)
家庭内での児童虐待が多く報道されていますが、被害者である子どもは身近な人に相談できず、重大事件になってから分かることが少なくありません。
女性差別(男女平等)
「女性だから…」や「男は仕事,女は家庭」のような考え方から、女性が就職などで差別されてしまう問題があります。
高齢者
介護のときの虐待や、詐欺(さぎ)にダマされてしまう事件が多くあります。現在の日本は5人に1人は65歳以上の高齢者です。
障害者
障害のある人がお店に入ることやアパートに入居することを拒否されることがあります。逆に電車やバスでは係員の方が付き添って乗車を助けたり、お店では車椅子などでも入りやすいように段差をなくすところも出てきています。「ノーマライゼーション」「バリアフリー」がキーワードです。
同和問題(部落差別)
日本の歴史の中では確かに身分と差別がありました。その感覚が今でも残り、結婚や就職で差別されることがあります。今は「部落差別のない社会を実現することを目的とする」法律があります。
アイヌ民族の差別
アイヌ民族(主に北海道に暮らしてきた先住民族)に対する理解不足のため、アイヌ民族は結婚や就職で差別されることがあります。現在は「アアイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」が成立しています。
外国人の差別
外国人であることを理由にアパートへの入居や、お風呂屋さんでの入浴が拒否されることがあります。考え方や宗教・生活習慣が違うため問題が発生することもありますが、「外国人だから…」という決めつけたような偏った見方は問題解決にはなりません。
特別な病気の患者の差別
HIVやハンセン病などの感染症に対する誤った理解が原因で、ホテルへの宿泊が拒否されるなどの事件がありました。
エイズウィルス(HIV)は,性的接触に留意すれば,日常生活で感染する可能性はほとんどありません。
ハンセン病は,らい菌という細菌による感染症ですが,感染したとしても発病することは極めてまれで,しかも,万一発病しても,早期治療により後遺症も残りません。
引用:法務省:主な人権課題
犯罪被害者
犯罪被害者や家族が、いわれのないうわさなどで傷つけられてたり、プライバシーが侵害されてしまうケースがあります。
インターネット
インターネット上に匿名(自分の名前を隠して)で、誰かの名誉を傷つけたり、プライバシーを侵害してしまうケースがあります。
戦争や戦争をしている国の人々
兵士以外の人々も戦争により傷つけられたり、命を奪われてしまうことがあります。また、戦争から逃げるために「難民」となり厳しい環境で暮らす人々もいます。
などなど。
他にももちろんたくさんあります。中学生が書く人権作文では、4人に一人は「いじめ」を題材にしているそうです。
「人権作文」の文章の構成は「体験」→「考えたこと」
人権作文の構成
「自分の体験(見たことや聞いたことでも)」
↓
「そこから考えたことや行動したこと」
実際の作文はこのような構成が一番書きやすいでしょう。
具体的な「書き出し」など
人権作文の具体的な「書き出し」など
STEP.1
体験(見たこと・聞いたこと)
例文
「先日◯◯ということがありました。」
「今私は〇〇という言葉(こと)が気になっています。 」
内容が分かる程度に詳しく書く
STEP.2
思ったこと・考えたこと
例文
「人権に配慮した素晴らしいことだと思います。」
「これは「人権問題」だと思いました。 」
体験からどう思ったかを書く
STEP.3
理由)
例文
「なぜなら〇〇だからです。」
「これならば〇〇することができます。」
「これだと〇〇になってしまいます。」
思ったり考えた理由を書く
STEP.4
意見(考えをもう一度)や行動したこと
例文
「だから私は◯◯だと考えます。」
「私は〇〇することにしました。」
体験から得たことや感じたことを書く
もちろんこのままだとスカスカで面白みのない文章かもしれませんが、伝わる文章になるはずです。
自分自身に体験がなくても
自分自身に体験がなくても
などから、人権作文を書くきっかけになることは見つけられます。
もしかしたら普段はニュースなどは見ないかもしれませんが、少し意識して見たり聞いたりしてみましょう。
なかなかいい話題がないと感じてしまうかもしれません。でも、人権作文は素晴らしい作品を作るためのものではありません。
ニュースを聞いて「なにかおかしい」と思ったら、そこが作文をするきっかけになります。
あまり難しく考えずに書いてみましょう。
それでもいいネタがないという場合は、今の自分とかけ離れたもの(住む場所や年齢など)に目を向けてみるといいかもしれません。
当たり前のことが意外とそうでなかったりするとハッとしますよね。
人権作文集
最後に人権作文の優秀作文集を紹介します。(PDFのページです。)
>> 第42回全国中学生人権作文コンテスト入賞作文集
>> 第41回全国中学生人権作文コンテスト入賞作文集
>> 第41回全国中学生人権作文コンテスト入賞作文集
入賞作品を見てみると、みなさんかなりいろいろな体験をされているようでなかなか参考になりませんね。
でも、こんな書き方もあるんだ、くらいに見ておいてもいいかもしれません。