フーガト短調は1700年ころにドイツの偉大な音楽家バッハが作曲した、とても有名な楽曲です。
…が、今では特に小中学生を中心によく知られる音楽になりましたね。
「ハゲの歌」として。
言い方によっては「古い」曲を、今の若い人たちが聞いてくれるのは嬉しいことなのですが、髪を気にする立場からしたらちょっと複雑です…
ともあれ、気を取り直してフーガト短調とJ.S.バッハの解説に入ります。
フーガト短調とは
フーガト短調は意味的には「フーガ」「ト短調」ですが、「フーガト短調」でJ.S.バッハが1705年頃に作曲したト短調のフーガを表します。
バッハは同じト短調のフーガの曲「幻想曲とフーガ」も作曲しているため、区別するために
楽曲の名前 (呼び名) |
区別するための 呼び名 |
バッハ作品総目録 |
フーガト短調 | 小フーガ | BWV578 |
幻想曲とフーガ | 大フーガ | BWV542 |
と呼ばれることがあります。
フーガは主題が繰り返される旋律
ひとまとまりのメロディーが何度も繰り返されています。
「フーガははじめに主な旋律が提示され(主題、主唱)、別の声部で主題を繰り返す(応唱)曲の形式」
と言われています。
これは
- 最初に主な旋律(主題)が演奏される
- 音程をずらして主題が演奏される
- 主題が、前の音程を追いかけるように繰り返される
というものです。
このことからフーガ(イタリア語でfuga)は日本語では遁走曲と言われています。
遁走は「逃げ走ること」を表し、フーガの追う・追われるを表現した言葉となっているということです。
フーガのはじまり
バロック様式の有名な絵画『夜警』レンブラント
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フーガの出現はバロック時代(16世紀末〜の約150年間)の初期でした。
はじめはトッカータ(鍵盤楽器のための楽曲形式)の中に部分的に使われていましたが、後にフーガとして独立したと言われています。
そしてチェンバロ、オルガン、ピアノなど鍵盤楽器用のフーガが作曲されるようになりました。
ト短調
ト短調は楽曲の調子の種類の一つです。
- 「ソ」から始まる音階(ドレミファソラシ)
- 「シ」「ミ」が半音下がる(♭=フラット)
- 「悲しい」「静かな」イメージ
「音楽の父」バッハ
名前:ヨハン・ゼバスティアン・バッハ
生年月日:1685年3月31日(〜1750年7月28日・65歳)
出身:アイゼナハ(ドイツ)
職業:作曲家・オルガン奏者
有名な作品:
- フーガト短調
- 主よ人の望みの喜びよ
- G線上のアリア
その他:
- 1000曲以上も作曲した
- ベートーヴェン(1770生まれ)もバッハを尊敬している
- 複数の旋律を美しく響き合わせる技法を高める→「近代音楽の父」と呼ばれるように
- 作曲家よりもオルガン奏者として有名だった
- パーマをかけたような白髪はかつら(当時の正装)
- 影響を受けた人物(師のような存在)はブクステフーデ(聖母マリア教会のオルガン奏者)
- 子供が10人(死別再婚により妻は2人)、有名な作曲家になった者もいる
- 視力を悪くし、手術を受けたが体力が戻らず死去
Even if it isn’t seen, a wind is going around a windmill. I’m appealing even if the music isn’t seen, I begin to whisper.
風は見えなくても風車は回っている。音楽は見えなくても心に響いてくる、囁きかける。
鍵盤楽器とパイプオルガン
チェンバロ
バッハが作曲した曲は鍵盤楽器のためのものが中心でした。
鍵盤楽器は鍵盤を叩いて演奏する楽器ですが、代表例には
- チェンバロ
- オルガン(パイプオルガン)
- ピアノ
が挙げられます。
楽器 | 音の出し方 | 特徴など |
チェンバロ | 弦を爪で弾く | 弦を直接触らないので音色・強さを調節できない |
パイプオルガン | パイプに空気を流す | (下にまとめがあります!) |
ピアノ | 弦をハンマーで叩く | 音の強さを調節できるように バッハが開発を手伝った |
パイプオルガン
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パイプオルガンはパイプに空気を流して音を出す楽器です。
原理はリコーダーを吹くことと同じですが、リコーダーのような音の高さを変えるための穴はありません。
パイプオルガンでは一つの音に対して一つのパイプを使っており、そのパイプがたくさんあることによって様々な音を出しています。
- 音の数だけパイプがある
- 世界最大はアメリカ ニュージャージー州アトランティックシティのボードウォーク・ホールにあるオルガン(パイプ数3万本以上)
- 小さいものには持ち運びサイズのものも
- 会場などでは席によって聞こえ方が異なる
- 音の響きによって音に包まれる感じに
- パイプを掃除すると音がよく鳴る
- 磨きすぎると音が変わってしまう
ボードウォーク・ホール 世界最大のパイプオルガン
パイプオルガンの歴史
- 紀元前3世紀水圧オルガン古代ギリシャ時代・北アフリカ・空気ではなく水
- 8世紀教会などに設置されるように西ヨーロッパ・ビザンティン帝国のコンスタンティヌス帝がフランク王国ピピン王へ贈呈したことがはじまり
- 19世紀後半蒸気機関で空気を送るタイプが出現オルガンは通常ふいご(下記)で空気を送る
- 20世紀電気で空気を送るタイプが出現モーターで空気を送ると空気が渦をつくり、音が変化してしまう・徐々に改良されていく
- 1970年代日本での設置が本格化コンサートホールなど・多くはドイツ式
ふいご
画像像引用:パイプオルガンの成り立ち:パイプオルガン誕生ストーリー - 楽器解体全書 - ヤマハ株式会社
この記事の音楽はクラシック無料音楽配信 - フリー音楽素材 700曲 [FREE mp3]からお借りしました。