【追記】
大学入学共通テストの、数学・国語での記述問題も見送りになると報道されています。先日も同様の報道があり、萩生田大臣は「そんなことない」というようなことをコメントしていましたが、今度は本当に見送りのようです。
>> 大学共通テスト、記述式見送りへ 国語と数学、大学入試改革の目玉 | 学校・教育 | 福井のニュース | 福井新聞ONLINE

2020年度(2021年1月)の大学入学共通テストでの英語民間試験導入は土壇場でなくなりましたね。5年も延期ということで今の受験生が関わることはほぼなくなりましたが、今度は大学入学共通テストで出題が予告されている記述問題が問題視されています。批判も多く、もしかしたら記述問題までなくなるかもしれません。本当にどうなるのか問題点や状況を見ていきます。

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大学入学共通テストの記述問題とは?
2020年度(2021年1月)にセンター試験に代わって始まる大学入学共通テストの国語と数学には記述問題が導入される予定です。導入のきっかけは、グローバル社会に向けて…多くの大学入試で国語の問題としての記述問題が出題されていないという文科省の調査結果でした。
数字としては4割だったそうですがそれは仕方がないですよね。「国語」に限定してしまえば受験科目に国語がない場合だってありえますし…ちなみに国語以外の教科も含めた東北大学の調査によれば約9割で記述問題があることになっています。
ある意味誤った調査結果から話が進み、「センター試験にも記述問題を!」ということで大学入学共通テストと名前が変わって記述問題も含まれることになりました。
まずは国語と数学からで、2024年度の本格実施からは理科・社会にも記述問題が登場する予定になっています。
>> 共通テストに「記述式」は必要? 国立大学の9割が実施 | AERA dot. (アエラドット)
大学入学共通テストの変更点
大学入学共通テストは高大接続改革の大きな変更点として2021年春実施の入試からの変更が予告されてきました。
具体的には
- 英語の配点をリスニング20点ライティング200点→リスニング100点ライティング100点とする
- 英語の4技能を測る目的で、英語民間試験を受けてもらい、各大学に成績を提供する
- 国語・数学に記述問題を導入する
というものです。
しかし11月1日、その中の②英語民間試験に関わる共通ID申込が、申し込み開始日に中止され2024年度まで延期となりました。多くの批判がある中でも「逆に混乱を招く」という論拠で強行されそうだった英語民間試験の導入ですが、なんとか回避されたという印象です。
延期の理由は
「自信を持って受験生に薦められるシステムになっていない」
引用:英語民間検定試験の導入見送り 2020年度、大学入学共通テスト | 学校・教育,政治・行政 | 福井のニュース | 福井新聞ONLINE
ということですが、公平性に疑問があるというのが一番の理由でしょう。そうなると、公平性に問題があるとされているもう一つの③国語・数学の記述問題に関しても延期・中止の声が大きくなってきており、先日は現役の高校生が延期を求めるインターネット署名を2週間で42,000件も集めたと報道されています。
>> 【共通テスト】記述式問題も延期を 高校生らが署名提出 | 教育新聞
記述問題がなくなる?
11月11日には記述問題採点の公平性などの検証として、高校生2万人分の採点をする作業実証が行われました。その結果なのでしょうか
来年度から始まる大学入学共通テストで、国語の記述式問題の成績を1次試験の選抜に使わないよう、文部科学省が国公立大学側に要請を検討していることが分かりました。
と報道されています。これは国語に関してのみのようですが、記述問題の延期・中止に関しては数学も含めて問題点が言われています。
記述問題の問題点は採点の公平性
記述問題では模範解答と受験生が答えた解答とを比べるかが難しいため
- 採点や採点基準の公平性
- 自己採点の正確性
に問題があると言われています。
アルバイトで採点?
採点基準に関しての公平性は、まず採点者によってばらつきが出ることは予想できます。そして特に不安を大きくさせているのが、採点者にアルバイトも含まれるという状況です。
もちろん誰でもなれるというわけではなく、3人で一つの答案に取り組む、当日にテストを実施し基準をクリアしなければ採点業務に当たれないなど条件はあるそうですが
記述式入試、採点者は“サクっと稼ぐ”アルバイト? TBS NEWS
「サクッと」って…まずいですよね。応募者を増やすためのものだとしたら、それだけ質は変わってくるはずですし、そうなれば採点の公平性は下がることが予想されます。もしそうだと考えると延期も考えるべきかもしれません。
自己採点が出来ず受験大学を下げる結果に
記述問題のもう一つの問題は、正確な自己採点ができず受験校選びを慎重にしなければならないという点です。つまり、合理的に考えれば出願する大学のランクは下げることになるでしょう。テストを受けても結果が判断できないために希望する大学への出願を取りやめるとしたら、これも公平だとは言い切れないですよね。
採点者は事前に問題を知ることができる?
しっかりとした基準で採点をしていくために、採点団体は事前に問題の答えを知ることになっているそうです。問題の漏洩を指摘されても「守秘義務を課している」と当たり前の答えとなっているだけで、不安を解消する説明などはないようです。もちろん問題作成者らは問題や答えを知っていて当然ですが、採点者は1万人規模になるということです。1万人が答えを知っている状況で受験生の人生を決めるかもしれない大学入学共通テストは行われます。
2020年度の大学入学共通テストは変わらない?
すでに英語民間試験導入が見送りとなり、記述問題の扱いにも変更がありそうな大学入学共通テストですが、英語の配点はリーディング100点・リスニング100点で、今までのセンター試験からは変えていく方針を維持するということです。同時に、「思考力・判断力・表現力」を重視した問題を出題するという方針も維持されるでしょう。つまり、その部分ではセンター試験とは変わって大学入学共通テストになるということなのでしょう。
2020年度(2021年1月実施)の変更点 | |
英語の配点(リーディング100点/リスニング100点) | 「思考力・判断力・表現力」を重視する出題 |
