【2021年4月3日追記】
2025年1月の大学入学共通テストでの記述試験の導入は見送られる方針となりました。
大学入学共通テストには記述問題は含まれず、国公私立での試験問題に出題を促すとされています。
また、英語民間試験の導入に関しては、2021年の夏頃に案がまとめられる見通しということです。
https://studyrunups.com/kyotu_test_kizyutu/
2021年1月からの大学入学共通テストの国語と数学で予定されていた記述式問題の導入が見送られることになりました!英語民間試験導入の延期もギリギリでの決定でしたが、記述式に関しても実施約1年前という、かなり引っ張ってからの発表という印象です。
>> 国・数記述式見送り 採点への懸念解消できず―入試改革振り出し・文科省:時事ドットコム
大学入学共通テストでの記述式見送り
2020年1月からセンター試験に変わって始まる大学入学共通テストでは、大学入試改革として「国語と数学に記述問題が導入される」予定でした。しかし、制度やシステム上の不安と批判などから「見送り」がされることになりました。
「延期」ではなく「見送り」
英語民間試験の導入は成績提供システムの利用に関わる共通IDの発行日当日に「延期」が発表されました。あくまで「延期」で2025年1月の導入を目指すというものです。
これに対して国語と数学の記述式問題の導入に関しては「見送り」ということです。
「期限を区切った延期ではない。まっさらな状態で対応したい」
引用:共通テスト記述式、文科相が見送り表明 今後は白紙 :日本経済新聞
萩生田光一文部科学大臣の言葉ですが、一度延期となると、次に実施する際には今言われている問題が全て解決されない限りは導入とはいかなくなるでしょう。

記述式見送りの理由
見送りの理由は「課題を解決できず・受験生の不安を払拭できない」とまとめられます。具体的には
- 採点体制がはっきりしていない
- 採点ミスの可能性がある
- 自己採点が出来ずに志望校に影響してしまう
などが挙げられています。
採点体制がはっきりしていない
採点は民間業者が行います。しかし、採点者は誰なのか、バイトが担当することもあるのか、問題が事前に伝わってしまうのか、などの問題点が指摘されてきました。
バイトが担当するにしても「属性」を絞るとしていましたが、いわゆる大学生が応募可能だったり、採点の方法などにも疑問が残り、結果として不安を解消できるものではなかったという状況でした。
採点ミスの可能性がある
採点者は3人で1つの答案を採点するなど、採点ミスを減らす方法がとられるということでした。しかしマークシートの答案に比べれば採点が難しいのは明らかで採点ミスをゼロにすることは厳しい状況です。
また、答案も記述となればさまざまな答え方となります。事前にできる限りの予想をして採点方法を決めるとしても、現実はそれを上回る答案が出てくるものです。実際の記述問題は予想できない答案が出てくることが当たり前で、その場合にはその都度採点をどうするのかの協議をするということですが、50万人規模が受ける大学入学共通テストでそれはできないでしょう。柔軟に対応するとしても今度は公平性が保てなくなっていまいます。
自己採点が出来ずに志望校に影響してしまう
大学入学共通テストの結果はその後の出願に関わってきます。記述問題の自己採点が正確にできないとしたら、合理的に考えれば受験する大学のレベルを下げることになるでしょう。そうなれば公平だとは言えなくなってしまいます。
自己採点もしやすいように、「段階表示」と呼ばれる表を使った自己採点の手段も示されていましたが、結局自己採点と結果とに差ができてしまいました。すると自己採点の正確性を高めるための改善を行ったはずでしたが、逆にシンプルになり記述問題の意味が薄れてしまうという指摘が出てきています。
不安は解消できるのか?
見ていると記述式問題の導入見送りの理由は採点部分が大きいようです。大学入試はそこまでの努力すべてが目標としてきたところなので、絶対に公平な採点をしてほしいですよね。でも、どのように採点されるか分からなければ不安ですし、採点ミスをされてしまったら許せません。模範解答と同じ記述の答案が作れるはずもないですし、そうなったら自己採点は低めにしてしまいますよね。
記述問題導入のもととなった、思考力、判断力、表現力が重要だという点には疑問はありません。ただ大学入学共通テストですべてを測ろうとするのは難しいのではないでしょうか。

批判を聞く度にどうやっても難しいんじゃないかという印象でした。これだと受験生の不安は解消されませんよね